兄磯城は神八耳命～志紀縣主

更新日：2月21日

第９５話

新選姓氏録によるとシキ縣主は、２系統あります。

１）河内国：志紀；初祖先は神八耳命（かんやいみみのみこと：綏靖の兄）

２）和泉国：志貴；大賈布（饒速日七世孫）

これはつまり、１）は兄磯城、２）は弟磯城ということではないでしょうか。

１）神八井耳についてのエピソードが日本書紀に書かれています。

神八井耳・神渟名川耳兄弟は、己卯年11月に片丘（奈良県北葛城郡王寺町・香芝町・上牧町付近か）の大室に臥せっていた手研耳を襲い、これを討った。この際、神八井耳は手足が震えて矢を射ることができず、代わりに神渟名川耳が射て殺したという。神八井耳はこの失態を深く恥じ、弟に皇位をすすめ（第2代綏靖天皇）、自分は天皇を助けて神祇を掌ることとなった。

神渟名川耳は私が大彦＝大国主とする人物です。神八耳命は神武天皇（饒速日）とアタ姫との間に生まれた子で、綏靖天皇の腹違いの兄です。このプログの第４９話タケハニヤスの乱２で一度登場しています。

２）大賈布（饒速日七世孫）は、鴨王（弟磯城＝ウツシコオ）のことと思われます。

ウツシコオは饒速日（孝元天皇）の宰相であって、子ではないのですが、ウツシコオ（大綜麻杵命）は饒速日の饒速日七世孫とする文献がありので、弟磯城はウツシコオとしても差支えないでしょう。大賈（たいこ）とは「大商人、富裕な商人、豪商」

なお、物部氏初期の系譜は史料によって混乱が見られますが、大綜麻杵命については饒速日命の5世孫で内色許男命と同一世代（兄弟）とする系譜にはほとんど異説がないとされています。ウィキペディア（Wikipedia）

このプログの第７５話で三毛入野と五瀬命のことを書きました。この二人は創作された神武天皇と兄とされていまますが、三毛入野と五瀬命は実在の人物だったのでしょう。

五瀬命は紀ノ國（木の国）の男之水門に着いた所で、戦闘で射られた傷が悪化し紀国竈山で亡くなり、竈山に墓が築かれたという。『古事記』では紀国男之水門で亡くなったとされています。三毛入野と五瀬命はともに木の国（和歌山）で亡くなっています。その頃木の国にいたと思われるスサノオ（神武？）と五十猛彦（ニギハヤヒ）と衝突し、追い払われたのではないでしょうか。

ところで神八耳命は日本書紀ではなんか頼りないよう印象ですが、兄磯城（＝神八耳命）の軍勢は相当強かったと思われます。饒速日（物部）の本隊に、兄倉下（大彦）、弟倉下（ウマシマジ）、二人の八咫烏（椎根津彦、事代主）、さらにだまし討ち、調略などでやっと勝てたようです。八咫烏の活躍 (hidemaru3375.com)も読んでみてください。

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『日本書紀』では、神八井耳命について多臣（多氏）の祖と記しています。

また『古事記』では、意富臣・小子部連・坂合部連・火君・大分君・阿蘇君・筑紫三家連・雀部臣・雀部造・小長谷造・都祁直・伊余国造・科野国造・道奥石城国造・常道仲国造・長狭国造・伊勢船木直・尾張丹羽臣・嶋田臣ら19氏の祖としています。『ウィキペディア（Wikipedia）』