第410話
平安時代の講書(日本書紀を天皇に講義した記録)に書かれている博士の質疑の一つに「わが国は姫氏と呼ばれているのは何ゆえか。」とあります。
「なぜそう呼ばれているのか」との天皇の問い掛けに、南朝の僧・宝誌は「日本の皇祖神が天照大御神で、神功皇后などの女帝も輩出している為、東海姫氏の国と呼ばれている」と答えています。参照:野馬台詩 - Wikipedia
天皇家は689年の飛鳥浄原令の発布以前まで「姫氏」を名乗っていました。
日本書紀を編纂した天武天皇のときに、中国の属国から脱するために、天皇家の苗字であった姫の姓を消したとされています。
神功皇后は架空の人物なので、姫氏国の姫とは=卑弥呼・とよ(乎止与命・台与・臺與)のことでしょう。
しかし、そもそも姫氏とは中国の古代の周王朝の国姓です。周は紀元前1046年頃に建国し、紀元前256年に秦に滅ぼされましたが、周王族はその後も存続が許されていて、血筋は絶えませんでした。その周王族が倭国(邪馬台国)に渡って来て後の多氏になったことはこのブログですでに何度も書いています。
第303話:魏志倭人伝の入れ墨についてでは、下記のように書きました。
「呉の大伯、周の太王の子にして、王・季歴(きれき)の兄なり。季歴は賢にして。聖子昌(しよう)あり。太王、季歴を立てて、以って昌に及ぼさんと欲す。
是に於いて大伯、すなわち荊蛮(けいばん)にはしり、身を文にし髪を断ち、用うべからざるを示し、もって季歴を避けく。」~周の太王は、弟である季歴を取り立てた、季歴には昌という子があった。兄の太伯は荊蛮の地に落ち伸びた。体に入れ墨(刺青)し、断髪して蛮地の風俗になり、周の王家にふさわしくない姿に身をやつした。
漢書や三国志・魏志倭人伝などの倭国の記述で、「皆、黥面(げいめん)・文身(ぶんしん)す」という記載があります。黥面とは顔の入れ墨で、文身は体の入れ墨です。
第304話:隼人族は呉の勝では、隼人族と「呉の勝」=多氏との共通点が多いことを発見しました。周の王家=呉の勝=隼人族という図式です。
さらに呉の勝は、海神族(ワタツミ一)で、ウガヤフキアエズです。
参照:第256話:ウガヤフキアエズのミコト 第314話:海人族~ワタツミ
倭国が呉の太伯の末裔であるなら、その王となる天皇の苗字も「姫」で、「姫氏」となります。縄文末期~弥生初期に長江流域から南方経由で渡来人が稲作(水稲)をもたらしたのなら、それが国を追われた三苗や百越の一族であり、古代の日本に入れ墨の風習を持つ海人族(あまぞく)が多かった事も理に適っていると思います。
日本が姫氏国だと日本の使節が自ら称したと中国の歴史書に記されており、日本は「東海姫氏国」と呼ばれていたことは、昔から知られていることです。
また、姫氏国の由来とことを徐福伝説と結びつける向きもあるようです。
秦の始皇帝の命で不老不死の霊薬を求めた徐福が、3,000人の童男童女と多数の技術者、五穀の種を持って逃亡の船出をし、日本に移り住んだという伝説は有名です。参照:第271話:徐福伝説と「呉の勝」
徐福が日本に渡来したのではないかという中国の伝説は日本にも伝わり、多くの伝承が創作された。徐福が当国に辿り着いた地として熊野(現在の三重県熊野市波田須町)周辺との伝承が残っている。昔の熊野のあたりが「秦住」と書いた、徐福の住舊地を土人に伝えされています。波田須駅付近には徐福ノ宮があり、彼が持参したと伝わるすり鉢をご神体としています。 また、同地からは秦代の貨幣である秦半両が出土しており、伝説と関連するのではとも言われており、近隣の和歌山県新宮市には、徐福の墓とされるものが伝わっており、徐福公園が造られています。
※このブログは、御牧国(ミマキ国)が邪馬台国であるという前提の上で書いています。
・ミマキ国は、茨木、高槻、枚方、交野です。
・今までのところ矛盾なくここまて書き続けています。矛盾している箇所があれば、その矛盾点をヒントとして次の記事としています。
※これまでの記事はこちらです。
<目次>
第344話:聖徳太子伝説~堀江と茨田堤
<これまでウツシコオ(内色許男命)=スサノオ(津田の王)であることが判明した人物>
第374話:牛鹿臣はウツシコオ! 第371話:彦狭島命~吉備児島
第372話:建日方別:彦狭嶋命 第369話:神武西征~健磐龍命
第365話:君が代(2):君はウツシコオ 第363話:彦はすべて、ウツシコオ
第324話:武内宿禰はウツシコオ!! 第325話:天之日矛はウツシコオ
第326話:大日彦(オホヒヒ彦)~守口 第327話:于道朱君の衝撃~新羅
第328話:沙至比跪(サチヒコ) 第329話:アメノヒボコはウツシコオ
第330話:投馬国とウツシコオ~丹波(但馬) 第331話:朱智神社~迦邇米雷王
第333話: 牛頭天王(スサノオ)はアメノヒボコ?
第380話:猿田彦は異国人
第335話: 天道根命は道祖神=ウツシコオ 第334話: 大彦は、五十猛!
第336話:大屋彦~根の国は和歌山 第337話:阿多賀田須命~宗像氏
第338話:月読命(ツクヨミ) 第349話:天児屋命はウツシコオ!!
第357話:武甕槌神(タケミカヅチ)考 第317話:ひょっとこ:火男~天之御影命
第318話:空海のルーツは内色許男命! 第319話:和知津美命はワタツミ!!
第320話:欠史八代はヤマト=三島 第230話:三嶋溝抗命たち(複数)
第231話:神八井耳命は三毛入野 第232話:内色許男命は武埴安彦命!
第274話:八咫烏もウツシコオ 第275話:事代主もウツシコオ?
第279話:開化天皇 第280話:建角身命もウツシコオ
第263話:中臣氏~中臣烏賊津 第256話:ウガヤフキアエズのミコト
第244話:大津神社と建南方富命 第245話:豊御気主命は三毛入野!
第246話:高御産巣日神(高木神) 第247話:今迦毛大御神と天若日子
第249話:物言えぬ皇子~阿遅須枳高日子 第251話:猿田彦は塩土老翁神
第252話:迦毛大御神は崇神天皇! 第253話:キサガイヒメはウツシコオの母!
第354話:伊勢津彦はタケミナカタ =ウツシコオ 第254話:興玉命も内色許男命
第361話:宇都志国玉神と宇都志日金拆命 第394話:天御鳥命(武夷鳥命)は火の鳥
第395話:天日鷲命は、、、 第397話:獲加多支鹵大王(ワカタケル) =雄略天皇