第396話~ウツシコオ Vs ウツシコメ
この時期になると、甚大な水害の報道が心を痛ませます。大阪府でも、北を北摂山地、東を生駒山地、南を金剛山地と和泉山脈に囲まれており、その多くの土地が低地であるのが特徴です。市街地の多くがこの低平地にあるため、これまで集中豪雨による水害・土砂災害、台風による高潮災害が発生し多くの犠牲者が出ています。
1885年(明治18年)6月は、上旬から二つの低気圧の影響により雨が降り続け、15日の夜からはついに豪雨が始まり、淀川は見る間に増水し、淀川右岸の支流である檜尾川(高槻市)、芥川(高槻市)、安威川(茨木市)、茨木川(茨木市)が氾濫し、淀川左岸にある支流の枚方市岡新町の天野川の堤防が決壊、次いで夜に入って枚方市の伊加賀で淀川本流の堤防が30間(約182m)にも渡って決壊する「伊加賀切れ」が発生し、やがて60間(約364m)にまで広がって淀川南側にあふれ出した。淀川左岸の堤防は各所で決壊し、加えて淀川支流の河川や用水路の水もあふれ出し、河内平野の北側一帯が浸水してしまいました。
しかし、枚方市の隣である交野市では被害はなかったようです。日本書紀には次のような記事が載っています。
天安田、天平田、天邑幷田(あせはだ)と曰ふ。此皆良き田なり。霖旱(ながらひいでり)に経(あ)ふとも雖(いえど)も、損傷(そこな)はるること無し。
其(か)の素戔嗚尊の田、亦有三處有り。号けて、天樴田・天川依田・天口鋭田と曰ふ。
此皆 磽地(やせどころ)なり。雨(あめふ)れば流れぬ。旱(ひで)れば焦(や)けぬ。故、素戔嗚尊の田、妬みて、姉(なねのみこと)の田を害(やぶ)る。春は廢渠槽(ひはがち)及び埋溝、毀畔(あなはち)、又 重播種子(しきまき)す。秋は捶籤(くしざし)、馬伏(うまふせ)す。
天照大神の田は良い田で、干ばつにも強い、しかしスサノオの田は雨が降れば流れてしまう。弟のスサノオはそれがうらやましかった(妬みて)ようです。
で書いたように卑弥呼(ウツシコメ)が持っていた土地は、良田であったようです。
交野市に私市(きさいち)という地名があります。日本書紀では577年敏達天皇の皇后、御食炊屋姫尊(後の推古天皇)にこの地を献じて、ここが私市部となった とされています。しかし交野地方は 肩野物部氏 の所領で、その先祖・饒速日命 は天の磐船に乗って河内の哮が峰に天降ったと先代旧事本紀に記されており、また近くに物部氏のものと推定される巨大な古墳群が発見されています。もともとこの地は物部一族のものだったのです。
この交野は地味肥え作物豊かな野であったので「甘野」といわれ、後に天野(あまの)となりました。古事記・日本書紀に出てくるアマ=天です。今でも天野川が流れています。
私は、御食炊屋姫尊(ミカシキヤ姫)という名前から、この私市はウツシコメの土地だったと思っています。ミカシキヤ姫は長脛彦の娘とされていますが実はウツシコメ=卑弥呼=天照大神です。
第366話:狗奴国と女王国では、奴国のスサノオ=男王:卑弥弓呼(ひみここ:ひこみこ)、狗古智卑狗(くこちひこ)、「かわちひこ」(河内彦)が、女王国の卑弥呼が争うようになった原因は外交問題だったとしました。
しかし、水害続きの土地を持つ素戔嗚(ウツシコオ)がアマテラス(ウツシコメ)の領地をうらやましく思っても不思議はありません。スサノオと天照大神が領地問題で戦いになった可能性は十分に考えられます。
ウツシコオ(内色許男命)=スサノオ(津田の王)で、ウツシコメ=天照大神=卑弥呼です。
機物神社(はたものじんじゃ)は、大阪府交野市倉治(*注=高倉下:タカクラジ)にある神社です。七夕に関する伝説で知られる神社です。祭神は天棚機比売大神(あめたなばたひめ)です。別名は栲機千々比売神です。すなわち私が卑弥呼とする人物です。参照:第356話: 七夕幻想~機物神社
第72話:卑弥呼は萬幡豊秋津師比売命!!
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*注~交野市倉治は記紀に出てくる高倉下の名前の元になった地名です。高倉下=大国主=ウツシコオ(内色許男命)=スサノオ(津田の王)ですから、スサノオもこの土地の権利を持っており、それが元で卑弥呼=天照大神と紛争の元になったのかもしれません。
<資料:日本書紀:別伝>
一書曰、是後、日神之田有三處焉、號曰天安田・天平田・天邑幷田、此皆良田、雖經霖旱無所損傷。其素戔鳴尊之田、亦有三處、號曰天樴田・天川依田・天口鋭田、此皆磽地、雨則流之、旱則焦之。故、素戔鳴尊、妬害姉田、春則廢渠槽及埋溝・毀畔・又重播種子、秋則捶籤・伏馬。凡此惡事、曾無息時、雖然、日神不慍、恆以平恕相容焉、云々。
※このブログは、御牧国(ミマキ国)が邪馬台国であるという前提の上で書いています。
・ミマキ国は、茨木、高槻、枚方、交野です。
・今までのところ矛盾なくここまて書き続けています。矛盾している箇所があれば、その矛盾点をヒントとして次の記事としています。
※これまでの記事はこちらです。
<目次>
25代武烈と雄略の同一人物説
【おはつせ】と【おおはつせ】、名前が似ている
雄略天皇は、25代・武烈天皇(小泊瀬天皇:おはつせ)との同一人物説もある。系図上は孫にあたる武烈の紀に「頻りに諸悪を造し、一善も修めたまはず」とある。これが「大悪天皇」の異名を持つ雄略を想わせ、さらに「小泊瀬(おはつせ:武烈)」「大泊瀬(おおはつせ:雄略)」と名前まで似通っている。
<これまでウツシコオであることが判明した人物>
第374話:牛鹿臣はウツシコオ! 第371話:彦狭島命~吉備児島
第372話:建日方別:彦狭嶋命 第369話:神武西征~健磐龍命
第365話:君が代(2):君はウツシコオ 第363話:彦はすべて、ウツシコオ
第324話:武内宿禰はウツシコオ!! 第325話:天之日矛はウツシコオ
第326話:大日彦(オホヒヒ彦)~守口 第327話:于道朱君の衝撃~新羅
第328話:沙至比跪(サチヒコ) 第329話:アメノヒボコはウツシコオ
第330話:投馬国とウツシコオ~丹波(但馬) 第331話:朱智神社~迦邇米雷王
第380話:猿田彦は異国人 第333話: 牛頭天王(スサノオ)はアメノヒボコ?
第334話: 大彦は、五十猛! 第335話: 天道根命は道祖神=ウツシコオ
第336話:大屋彦~根の国は和歌山 第337話:阿多賀田須命~宗像氏 (
第338話:月読命(ツクヨミ) 第349話:天児屋命はウツシコオ!!
第357話:武甕槌神(タケミカヅチ)考 第317話:ひょっとこ:火男~天之御影命
第318話:空海のルーツは内色許男命! 第319話:和知津美命はワタツミ!!
第320話:欠史八代はヤマト=三島 第230話:三嶋溝抗命たち(複数)
第231話:神八井耳命は三毛入野 第232話:内色許男命は武埴安彦命!
第274話:八咫烏もウツシコオ 第275話:事代主もウツシコオ?
第279話:開化天皇 第280話:建角身命もウツシコオ
第263話:中臣氏~中臣烏賊津 第256話:ウガヤフキアエズのミコト
第244話:大津神社と建南方富命 第245話:豊御気主命は三毛入野!
第246話:高御産巣日神(高木神) 第247話:今迦毛大御神と天若日子
第249話:物言えぬ皇子~阿遅須枳高日子 第251話:猿田彦は塩土老翁神
第252話:迦毛大御神は崇神天皇! 第253話:キサガイヒメはウツシコオの母!
第254話:興玉命も内色許男命 第354話:伊勢津彦はタケミナカタ =ウツシコオ
第361話:宇都志国玉神と宇都志日金拆命 第394話:天御鳥命(武夷鳥命)は火の鳥
第395話:天日鷲命は、、、