黄門様がやりたかったこと

第４１９話～勘注系図：水戸黄門が読みたかった書

水戸黄門こと徳川光圀は、日本の歴史書：大日本史を編纂したことで知られています。

大日本史は神武天皇から後小松天皇までの百代の帝王の治世を扱う紀伝体の史書で、質の高い漢文体で書かれ、出典を明らかにし考証にも気を配っています。

徳川光圀がこの「大日本史」の編纂を計画したとき、海部氏の系図である勘注系図の存在を知って見たいと申し入れましたが、断わられたとの話もあります。

勘注系図は、古代から中世にかけての日本の系図の一種で、特に家系や血統を詳細に記録したものです。奈良時代初期の記紀の完成より百年も前、聖徳太子や蘇我馬子らが国史の編纂を企画して、諸国の豪族から家伝の歴史を集めたともされています。この時、饒速日命の子孫で丹波国の豪族で、国造でもあった海部家の海部直止羅宿禰が丹波国造本記なる一族の史書を編纂して朝廷に献上し、それとは別に似た内容の自家用をつくって保存しました。

勘注系図では、下記のような人物が登場しています。

海部氏系図（勘注系図）

彦火明命　　天香語山命（亦名手栗彦命）　　　天村雲命

天忍人命（亦名倭宿禰命）天登目命　建登米命　　建田勢命

建諸潟命　市大稲日命　大那毘命　　小縫命　　天御蔭命　建稲種命

志理都彦命　　川上眞稚命　　丹波大矢田彦・建振熊宿禰　

丹波国造大倉岐命（亦の名大楯縫命）　丹波国造明国彦命　　難波根子建振熊宿禰

丹波国造建振熊宿禰　　丹波国造海部直都比　　丹波国造海部直縣

そして水戸黄門は和歌（万葉集）の研究もしています。江戸時代の学者である契沖を庇護し、契沖が万葉代匠記を執筆するのを支援しました。万葉代匠記は、万葉集の注釈書であり、光圀の支援により完成しました。光圀自身も和歌を愛し、多くの詩歌を詠みました。彼の詩歌集：常山詠草には、万葉集の影響を受けた作品が多く含まれています1。

私は、このブログで猿丸大夫や柿本人麻呂がウツシコオ（内色許男命）＝スサノオ（津田の王）であるとしました。参照：猿丸幻想（１）猿丸幻想（２）～柿本人麻呂

また第３９８話衣通姫（そとおりひめ）でも衣通姫は、和歌の名人です。紀伊で信仰されていた玉津島姫と同一視され、和歌三神の一柱であるとされています。和歌山県の名前の由来となったのは和歌です。和歌山はウツシコオ（内色許男命）＝スサノオ（津田の王）

やウガヤフキアエズのミコトの出身地です。

古事記・日本書紀の編纂者の一人は太安万侶です。そして安万侶は多氏です。多氏の祖は神八井耳命（かんやいみみ）です。この神八井耳命もウツシコオ（内色許男命）＝スサノオ（津田の王）です。参照：多氏と長脛彦

水戸黄門が和歌（万葉集）や古事記・日本書紀を研究したのは、邪馬台国の謎を解き明かそうとしたからではないでしょうか。私も邪馬台国の解明のために、古事記・日本書紀に加えて最近では、勘注系図や万葉集などにも取り組んでいます。

※このブログは、御牧国（ミマキ国）が邪馬台国であるという前提の上で書いています。

・ミマキ国は、茨木、高槻、枚方、交野です。

・今までのところ矛盾なくここまて書き続けています。矛盾している箇所があれば、その矛盾点をヒントとして次の記事としています。　

※これまでの記事はこちらです。

＜目次＞

　第１話～第４０話　　　第４１話～第８０話　　第81～第120話　　　第120話～第160話