第88話~異俗(あたしくにのひと)
邇邇藝命が天降りをしようとすると、天の八衢やちまたに、高天原から葦原の中つ国までを照らす神がいた。そこで天照大御神と高木神は天宇受売命に、その神に誰なのか尋ねるよう命じた。その神は国津神の猿田毘古神で、天津神の御子が天降りすると聞き先導のため迎えに来たのであった。
【解説】
天照大御神は、ウツシコメ(孝元天皇后:卑弥呼)、高木神はウツシコオ(思金)、天宇受売命は天のウズメ(ウツシコメの側近の女官)、邇邇藝命(ニニギ:天津神)は、御牧入彦(ミ・マキ・イリヒコ:崇神天皇)のことです。
先代旧事本紀によると饒速日(孝元天皇)が天下ったときに、防衛(ふさぎのもり)32神、供領(とものみやつこ)5部、物部(もののべ)5造25部、磐船の船頭、舵取り、船子など計73神が随身しています。戦国時代でいう家臣団でしょう。その中でも、家老クラスが、五伴緒(いつとものお)です。
天鈿売命(天のウズメ)、太玉命(忌部首等の祖)、天児屋命(中臣:藤原氏の祖)
天糠戸命(鏡作連等の祖:鏡作坐天照御魂神社~奈良県田原本町)、天明玉命(玉作連等の祖)
天鈿売命(天のウズメ)は、卑弥呼(ウツシコメ)の側近(侍女)だったので五伴緒に入っているのでしょう。一方、猿田彦は家臣団にも入っていません。
日本書紀では、邇邇芸命が天降りしようとしたとき、天の八衢(やちまた。道がいくつもに分かれている所)に立って高天原から葦原中国までを照らす神がいました。その神の鼻の長さは七咫(ななあた)、背(そびら)の長さは七尺(ななさか)、目が八咫鏡(やたのかがみ)のように、また赤酸醤(あかかがち)のように照り輝いているという姿でした。そこで天照大御神と高木神は天宇受売命(あめのうずめ)に、その神の元へ行って誰であるか尋ねるよう命じました。その神が国津神の猿田毘古神で、邇邇芸命らの先導をしようと迎えに来たのでした。邇邇芸命らが無事に葦原中国に着くと、邇邇芸命は天宇受売命に、その名を明らかにしたのだから、猿田毘古神を送り届けて、その名前をつけて仕えるようにと言いました。そこで天宇受売命は「猿女君」と呼ばれるようになったということです。なお、日本書紀では、猿田彦が天鈿女命(あめのうずめ)に自分を送り届けるように頼んだことになっています。
島根県の佐太神社に祀られる佐太大神(サダ大神)は、出雲国風土記によると、大国主命(大彦:孝元天皇長男)の命を救った𧏛貝比売(キサカイヒメ)の子であるといわれています。この佐太大神は、平田篤胤が猿田彦神と同一と見なしています。
古事記には、大国主はひどい兄弟たち(八十神たち:ウツシコオ?)に二度も殺されて生き返り、黄泉の国まで逃亡したと書いてあります。さらに大国主の母とされる刺国若比(さしくにわか姫)は、八十神たちに殺された息子の大国主神(大彦)を見て嘆き悲しみ、高天原の神産巣日神(孝元天皇:饒速日)に懇願し、遣わされた𧏛貝比売(きさかひひめ)」・「蛤貝比売(うむかひひめ / うむぎひひめ)に生き返らせてもらいました。しかしまたも八十神たちの謀略によって大国主神が殺されたため、再び蘇生させて息子に大屋毘古神(五十猛)の木の国(紀ノ國)に行くよう施したとあります。
キサガイヒメは赤貝を、ウムギヒメは蛤を神格化したものと考えられています。ちなみに昔は塗り薬を貝殻に入れていました。大国主は大火傷をしたともいわれています。古事記、出雲国風土記の両書では、神産巣日之神(カミムスヒ:孝元天皇=饒速日)と関係を持ち、前者では神産巣日神に派遣されて大国主神の治療に従事し、後者では神魂命(カミムスヒ)の御子神であると記されています。
なぜ、猿田彦は物部(饒速日)の家臣団に入っていないのでしょうか。猿田彦の容貌、その神の鼻の長さは七咫(ななあた)、背(そびら)の長さは七尺(ななさか)、目が八咫鏡(やたのかがみ)のように、また赤酸醤(あかかがち)のように照り輝りあります。鼻が高く、背が高く、目の色が違う。これは西洋人の特徴です。崇神朝では異俗(あたしくにのひと)が多数日本にやってきたといいます。猿田彦の親であるキサガイヒメは海外の最新の治療の技術(医術)を知っていたのでしょう。崇神朝では多く人が海外から来たそうです。
異俗(あたしくにのひと)も訳(をさ)を重ねて来(まう)く。海外(わたのほか)までも既に帰化(まうおもぶ)きぬ。日本書紀より(理由があって、海外からたくさんの人が来て帰化した。)
枚方市にも蹉跎(さだ)神社があります。祭神は、菅原道真です。菅原氏は、天穂日命の子孫です。蹉跎(さだ)神社と猿田彦との関係は不明ですが、”さだ”は猿田とされています。
<邪馬台国の新常識>
※このブログは、御牧国(ミマキ国)が邪馬台国であるという前提の上で書いています。
・ミマキ国は、茨木、高槻、枚方、交野です。
・今までのところ矛盾なくここまて書き続けています。矛盾している箇所があれば、その矛盾点をヒントとして次の記事としています。
※これまでの記事はこちらです。
<目次>
※防衛(ふさぎのもり)32神
天鈿売命 猿女君等の祖 瓊瓊杵尊の五伴緒の一 ウズメ
太玉命 忌部首等の祖 瓊瓊杵尊の五伴緒の一
天児屋命 中臣連等の祖 瓊瓊杵尊の五伴緒の一 枚岡神社 東大阪市出雲井町
天櫛玉命 鴨県主等の祖 櫛玉命神社
天道根命 川瀬造等の祖
天神玉命 三嶋県主等の祖 新屋坐天照御魂神社 大阪府茨木市、粒坐天照神社 兵庫県龍野市
天椹野命 中跡直等の祖
天糠戸命 鏡作連等の祖 瓊瓊杵尊の五伴緒の一 鏡作坐天照御魂神社 奈良県田原本町
天明玉命 玉作連等の祖 瓊瓊杵尊の五伴緒の一
天村雲命 度会神主等の祖 豊受大神宮摂社の河原淵神社「宇賀御魂神」三重県伊勢市船江上社東隣
天神立命 山背久我直等の祖 クガミミ
天御陰命 凡河内直等の祖
天造日女命 安曇連等の祖
天世乎命 久我直等の祖
天斗麻禰命 額田部湯坐連等の祖
天背男命 尾張中嶋海部直等の祖 久多神社「天背男命」愛知県稲沢市
天玉櫛彦命 間人連等の祖
天湯津彦命 安芸国造等の祖 八幡神社「配 天湯津彦命」広島県比婆郡高野町
天神魂命 三統彦 葛野鴨県主等の祖
天日神命 対馬県主等の祖 阿麻 留神社「天日神命」長崎県下県郡
天三降命 豊国宇佐国造等の祖 六柱社「天三下魂命」大分県大野郡千歳村
乳速日命 広湍神麻続連等の祖 春日千乳早山香媛(かすがのちちはややまかひめ)
八坂彦命 伊勢神麻続連等の祖 皇大神宮末社の神麻續機殿神社「天八坂彦命」三重県松阪市
伊佐布魂命 倭文連等の祖
伊岐志邇保命 山城国造等の祖
活玉命 新田部直等の祖
少彦根命:スクナヒコ:鳥取連等の祖 波太神社「角凝魂命」大阪府阪南市、天湯川田神社・宿奈川田神社
事湯彦命 畝尾連等の祖
下春命 武蔵秩父国造等の祖 瓊瓊杵尊降臨時活動の思兼神の子 小野神社 神奈川県厚木市
月神命 壱岐県主等の祖 八幡神社「天月神命」長崎県壱岐郡芦辺町 神名大月讀神社論社
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<タケハニヤスの乱>
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:タケハニヤスの乱2 ~阿太(奈良県五條市)
:タケハニヤスの乱3 ~小人国
:タケハニヤスの乱4~大彦は、綏靖天皇
:タケハニヤスの乱最終章