第161話
倭迹迹日百襲姫命(やまととももそ姫)は、孝霊天皇と意富夜麻登玖邇阿礼比売命(おほやまとくにあれ姫:古事記)との間に生まれたとされています。日本書紀では意富夜麻登玖邇阿礼比売命は倭国香媛(やまとくにかひめ:別名は絙某姉:はえいろね)とされ、この女性は、十市県主祖大目の娘、細比売(真舌媛)とは別人のようです。
古事記では、国香媛の父親は、第3代安寧天皇(シキツヒコタマデミ)の子の和知都美命(わちつみ)であるとしています。古事記はこの和知都美命は淡路島の御井の宮(淡道之御井宮)に住んだと書いています。ですからヤマトトモモソ姫の母の倭国香媛も淡路島の人です。この御井(みい)という地名は、前回書いた淡路島の佐野付近に小井(おい)という地名との関連をうかがわせます。
徳島県阿南市水井町には昭和30年まで稼働していた水井水銀鉱山がありました。当時の阿波は水銀の一大産出地だったのです。各地の「井」の付く地名は水銀(朱)を産出した地のようです。 淡路島黒谷「仁井」、和歌山県「井光」
ヤマトトモモソ姫を祭る香川県東さぬき市の水主(みぬし)神社の近くにも丹生という地名があり、水銀との関連のあった地だと思われます。
淡路島の水銀は早い時期に枯渇し、和知都美命、倭国香媛は四国の阿波に移動したと思われます。淡路島の淡路(アワ)は四国の阿波(アワ)へ行く道という意味です。大阪市東淀川区にも淡路があり、ここから淡路島や阿波へ行く船が出ていたと思われます。
各地の水分(みくまり)神社はもともと水銀(朱)の産地であったものが、水銀が枯れると水=農業の神となってしまっています。同様に高龗神(たかおかみのかみ)、弥都波能売神(みづはのめのかみ)は水神とされていますが、当初は水銀の女神です。
こうなると東さぬき市の水主(みぬし)神社の社伝(下記)もあやしくなってきます。
「姫(倭迹迹日百襲姫命)は未来を予知する呪術にすぐれ、日照に苦しむ人々のために雨を降らせ、水源を教え、水路を開き米作りを助けたといわれています。」 水主神社境内の案内
ヤマトトモモソ姫は元々は水銀朱の採掘集団のリーダーだったのです。
{参考文献}「謎の四世紀」上垣内憲一
関連項目:丹・朱を求めた天皇たち
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※このプログは、御牧国(ミマキ国)が邪馬台国であるという前提の上で書いています。今までのところ矛盾なくここまて書き続けています。
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