第399話~筑紫津神社
「難波の海 難波の海 漕ぎもて上る 小舟大船 筑紫津までに 今少い上れ 山崎までに」
これは、平安時代の歌謡「催馬楽(さいばら)」に載っている歌です。難波の海(大阪湾)から様々な大きさの船が淀川を行き来している様子を表しています。
筑紫津は高槻の地名です。大阪府高槻市津之江町北町18番地水戸に筑紫津神社があり、境内の神社の由緒書きには、次のように書いてあります。
本地は古来、嶋上郡に属し、筑紫津と称す。太古、素盞嗚尊、筑紫より御幸の際、本地に御仮泊、旅程の安全を祈るため、道祖の神を祀る。
道祖の神は、ウツシコオ(内色許男命)=スサノオ(津田の王)です。参照:第335話: 天道根命は道祖神=ウツシコオ
この筑紫津神社の北1.5kmの地に継体天皇陵とされる今城塚古墳があります。阿蘇産の石棺石材も使われています。出土品の中には円筒埴輪にヘラで「帆船絵」が描かれていたものがあり、高槻市立埋蔵文化財調査センターの森田克行所長は、「今城塚の船絵は、大型船の停泊を表している。淀川に大きい津があった」とされておられます。
土佐日記は、平安時代に、紀貫之が土佐国から京に帰る最中に起きた出来事を諧謔を交えて書いていますが、淀川をさかのぼる様子が詳しく書かれています。
何日もかかっているのは、淀川を流れに逆らっているからです。大型船を馬で牽いて淀川を遡ったようです。この当時、すでに淀川には大小の定期便が何隻も行き来していました。
1月30日:和泉の灘(大阪府南西部) 2月1日:黒崎の松原(大阪府泉南郡岬町淡輪)
2月5日:石津 大阪府堺市浜寺 〃 住吉 大阪府大阪市住吉区
2月6日 難波 大阪府大阪市
2月8日 鳥飼の御牧(大阪府摂津市鳥飼) 2月9日:渚の院(大阪府枚方市渚元町)
〃 鵜殿 大阪府高槻市鵜殿
2月11日:八幡の宮(石清水八幡宮) 〃 山崎(京都府乙訓郡大山崎町)
2月16日 島坂 京都府向日市上植野町御塔道 〃 京(着) 京都府京都市
この時、紀貫之が乗っていた船は、デッキの上に屋形、船底には船室がある大型の帆船であったことが、土佐日記の記述からうかがえます。このこことから、高槻の筑紫津、淀津には多数の帆船が停泊できる港津があったようです。
なお、邪馬台国の時代には、淀川は河内湖であったため高槻辺りまでは、馬で牽かずともそのまま、なんなく茅渟の海(大阪湾)から、行き来できました。筑紫津という名前から、邪馬台国の時代には、筑紫(九州)と鳥飼、高槻、枚方を結ぶ定期便が航行していたと思われます。
継体天皇は、「衆6万」を組織して新羅に攻め込もうとしたとされています。欽明天皇は、百済旧援軍として千人の兵と100頭の馬を船で輸送した事例があるので、継体天皇も同様の軍隊をこの高槻の筑紫津に集合させたと推測されているのは、高槻市教育委員会の森田克之氏です。枚方市文化財研究調査会編の「継体天皇とその時代」の中(p91)で外航可能な大型の構造の帆船が用いられたとされておられます。天平宝字(761年)に計画された新羅へ向けた軍は、兵4万7千人、水手1736人、を394艘の船で輸送したとされています。
ところで、当時(邪馬台国時代)の日本はそんなに多数の構造船を作ることができたのでしょうか。ここで思い出されるのが、スサノオとイタテ(イトテ:五十猛)です。
第108話:スサノオ(素戔嗚)~木の国と出雲 では、下記のように書きました。
五十猛神が天降る際に多くの樹木の種を持っていたが、新羅には植えずに全てを持ってきて、九州からはじめて大八洲国に植えたので、青山に被われる国となったということです。
五十猛(イタケル)、大屋都比賣神(オオヤツヒメ)、妹神の抓津姫神(ツマツヒメ)、このスサノオの子である三兄妹の神は全国に種を蒔いて青山と為したことが日本書紀に記されており、木の神として信仰されていることから、スサノオもまた木の神としての神格を帯びていたことが考えられます。
特に木材は船の材料として非常に重要です。海を舞台に活躍する海人らが、船の材料たる木を守護するスサノオを、船や航海を守護する神としても信仰するようになったと思われます植樹により治山治水を行ったので五十猛は「木の神」、「林業の神」として信仰されています。五十猛彦は饒速日(ニギハヤヒ)でしょう。
ウツシコオ(内色許男命)=スサノオ(津田の王)は、元々は熊野水軍だったと思います。
関連項目:第386話:継体天皇はスサノオ
:第284話:邪馬台国は巨椋池
:第242話:淀津遺構
:第243話: 山崎津と玖賀耳之御笠
:第309話:邪馬台国は北摂!!
:第392話:村上水軍と越智氏
高槻市も邪馬台国です。
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※このブログは、御牧国(ミマキ国)が邪馬台国であるという前提の上で書いています。
・ミマキ国は、茨木、高槻、枚方、交野です。
・今までのところ矛盾なくここまて書き続けています。矛盾している箇所があれば、その矛盾点をヒントとして次の記事としています。
※これまでの記事はこちらです。
<目次>
継体天皇21年、新羅の圧迫を受けた朝鮮半島南部の加耶諸国からの援軍要請を受け、毛野が派遣されます。継体天皇の将軍であった毛野は海を渡ります。しかし、毛野は成果を上げることができず、召還される途中の対馬で病死しました。 船に乗せられた亡骸(なきがら)が、その子どもたちに伴われ近江に向かって淀川をさかのぼります。知らせを聞いて近江から迎えに来た毛野の妻は、枚方あたりで葬送の笛を奏でる船に出会い、悲嘆にくれて歌を詠みました。
「ひらかたゆ笛吹き上る近江のや毛野の稚子(わくご)い笛吹き上る」
<これまでウツシコオ(内色許男命)=スサノオ(津田の王)であることが判明した人物>
第374話:牛鹿臣はウツシコオ! 第371話:彦狭島命~吉備児島
第372話:建日方別:彦狭嶋命 第369話:神武西征~健磐龍命
第365話:君が代(2):君はウツシコオ 第363話:彦はすべて、ウツシコオ
第324話:武内宿禰はウツシコオ!! 第325話:天之日矛はウツシコオ
第326話:大日彦(オホヒヒ彦)~守口 第327話:于道朱君の衝撃~新羅
第328話:沙至比跪(サチヒコ) 第329話:アメノヒボコはウツシコオ
第330話:投馬国とウツシコオ~丹波(但馬) 第331話:朱智神社~迦邇米雷王
第380話:猿田彦は異国人 第333話: 牛頭天王(スサノオ)はアメノヒボコ?
第334話: 大彦は、五十猛! 第335話: 天道根命は道祖神=ウツシコオ
第336話:大屋彦~根の国は和歌山 第337話:阿多賀田須命~宗像氏 (
第338話:月読命(ツクヨミ) 第349話:天児屋命はウツシコオ!!
第357話:武甕槌神(タケミカヅチ)考 第317話:ひょっとこ:火男~天之御影命
第318話:空海のルーツは内色許男命! 第319話:和知津美命はワタツミ!!
第320話:欠史八代はヤマト=三島 第230話:三嶋溝抗命たち(複数)
第231話:神八井耳命は三毛入野 第232話:内色許男命は武埴安彦命!
第274話:八咫烏もウツシコオ 第275話:事代主もウツシコオ?
第279話:開化天皇 第280話:建角身命もウツシコオ
第263話:中臣氏~中臣烏賊津 第256話:ウガヤフキアエズのミコト
第244話:大津神社と建南方富命 第245話:豊御気主命は三毛入野!
第246話:高御産巣日神(高木神) 第247話:今迦毛大御神と天若日子
第249話:物言えぬ皇子~阿遅須枳高日子 第251話:猿田彦は塩土老翁神
第252話:迦毛大御神は崇神天皇! 第253話:キサガイヒメはウツシコオの母!
第254話:興玉命も内色許男命 第354話:伊勢津彦はタケミナカタ =ウツシコオ
第361話:宇都志国玉神と宇都志日金拆命 第394話:天御鳥命(武夷鳥命)は火の鳥
第395話:天日鷲命は、、、 第397話:獲加多支鹵大王(ワカタケル) =雄略天皇